少子化社会を考える 其の一

1人っ子政策?

日本は、「1人っ子政策」を掲げたことはありませんが、現状は、1人っ子の国へと確実に歩みを進めています。日本の合計特殊出生率は、2004年は1.29人で、東京では、1.0107人になっています。日本の出生率の過去の推移をみると東京の出生率を10年遅れでなぞっているといいます。まさに、これが日本の現実であります。

各自治体における政策の柱となる総合計画においても、地域の人口が減少していくという計画内容はほとんどありませんが、新生児の産声を聞けない自治体が、2002年に1ヵ所、2003年には3ヵ所あったとされています。また、この10年で廃校になった小中高校は、全国で2000を超え、多くは高齢者施設に生まれ変わっているそうです。

子育て支援策

政府が1994年 に「今後の子育て支援のための施策の基本的方向について」(エンゼルプラン)策定し、少子化対策を進めて以来10年余が経過し、2004年度では対策費として1兆6千億円が使われていますが、成果は乏しいものとなっています。

現在取り組まれている子育て支援策は、子供をもつ家庭への手当や減免措置等の直接的な経済支援と、子育てをしながらも働く事ができるような保育所の整備等の間接的な経済支援とに大別することができます。磐田市においても、平成18年度から児童手当の支給対象を小学校6年生まで拡大したところです。

少子化社会の新たなカタチ

2004年11月、国土交通省で開かれた幹部会では、「人口減社会での社会資本整備」というタイトルの資料が配られたそうです。その中で、高度成長期から積み上がった社会基盤の建替え費用がどんどん膨らみ、2050年度には維持更新に25兆円かかるとし、結論としでは、「2030年度に新規の道路や橋をつくることはできなくなる」としています。

日経新聞によれば、?出産費用は約40万円。2004年に生れた子供の数は、110万人。110万人分の費用をすべて負担すると4千4百億円。2005年度の住宅金融公庫の損失処理費用とほぼ同額。?110万人に100万円を出産祝いとして贈ったら1兆1千億円。2005年10月に民営化した日本道路公団による年間の道路建設・維持費用と同水準。?小学校入学前の子供は690万人。1人に月5万円の育児手当を給付すると年4兆1千億円。44兆円に達する公的年金給付の10%に満たない。「今こそお金の使い方を考え直すべき時期を迎えている」としています。

少子化対策は、お金を費やせば解決できるといった単純な問題ではないにしろ、経済的理由により躊躇する夫婦もいるのも現実であります。2005年1月の通常国会より、今まで以上に少子化を政治の場で議論する機運が芽生えてきました。

大変な難題ではありますが、とても重要な課題であるとの認識を新たにして取り組んでいく必要があります。