「昭和という時代」

「昭和という時代」は64年間あり、いわば20世紀の約2/3を占めた時代であったわけである。昭和という時代を新ためて見つめてみると、戦争における勝利と敗戦、他国を領有すること他国に領有されること、テロやクーデター、イデオロギーの対立による闘争、餓死と飽食の両時代、極貧や富裕、政治における官僚支配や独裁・民主主義等、あらゆることが64年の間に凝縮して存在したといえる。
64年間といえば、その時代を共有する世代は2?3世代といえよう。祖父母、父母、自分、子、孫と、どのような関係の世代かはそれぞれだろうが、この短期間にこれほど情勢の変化した国もないだろうと思う。主義・主張の多様化も話題に上がるが、世代による意識のギャップの大きさは、ここから伺えるのではないかと思う。
現在、平成という時代を迎え16年目が経とうとしている中で、行政、財政、経済、金融、社会保障、教育、環境、食料など、広い分野に及んで深刻な状況が指摘されている。そして、多くの人が、今のこの時代のことを「第三の改革」と呼んでいる。
しかし、ひと言に「改革」といっても先に述べたように、世代による意識のギャップもあるだろうし、同世代にあってもこれだけの変化の中で生活しているのだから、当然にその生活環境によっても違いはあるだろう。
今後を考えていく上で「昭和という時代」を見つめ返すことは大切なことだと考えている。昭和という時代に得たものは何であり、失ったものは何であるのか、それによって何がもたらされたのか等、これからもしっかりと検証していく必要を感じている。