「和を以って貴しと為す」其の一

「和を以って尊しと為す」日本人は古来より、家族や隣人、友人といった横の絆や、親や祖先といった先人との縦の絆を重んじ、社会の中で生かされ支えあって生きている事に感謝の念を忘れませんでした。
「古事記」に示されているように、日本人はその伝統文化の中に「八百万の神」があり、様々な物に尊厳と感謝を持っていたといえるでしょう。
私達は、このような多様な絆を大切にし、真に心豊な地域社会を確立し、誇りと自信を持って、この郷土を子々孫々に引き継いでいかなくてはなりません。
「地域の姿」は、私達の人生感・社会感を如実に描き出しています。混沌とした社会の中で、今一度「地域」を捉え直し、立て直すこと、古臭くいえば「郷土の生活の意義」を確かなものにしていくことは大切なことです。
私達の地域社会は、常に「夢」や「安心」「人の絆」を育む、風土、環境を備えた「人が生活するに足る場所」で在るべき事はいうまでもありません。「夢の醸成構造」「不安の解消構造」「絆の再生構造」をもった地域社会こそ、人が生活するに足る場所だと考えます。
こうした「地域社会の構造」を構成し、また創り上げるのは、そこに暮らす人々であります。現在地域に潜在する様々な課題も人々が有機的に結びつく事によって解決できるものも数多くあると考えます。
少子化、核家族、ひとり暮らし等のそれぞれの家庭が抱える課題であっても、自分の家には子供はなくても地域にはいる、ひとりっ子であっても地域には兄弟、姉妹がいる。青年も壮年もお年寄りも地域には必ずいるはずです。
人はお互い助け合わないと生きていけないところに、最大の弱みがあり、その弱みゆえにお互い助け合うところに最大の強みがあります。地域の暮らしが「生かされて、生きる」こんな感謝の念に包まれた「まち」でありたいと願います。