変える勇気と変えない誇り 其の三
議員について
議員には行政に対して質問をしたり議論したりするいろいろな機会がある。一般質問は代表的なものだが、常任委員会や協議会の議論も見逃せない。一般質問は通告制で事前にある程度自分なりの議論の組み立てができるが、常任委員会や協議会で即興での議論が多いのでかえって議員自身の政治姿勢がわかると思う。
一般質問でいろいろな要望や提案はするが、実務的な議論として条例や予算等が提案されているのにそれを指摘できないでいる場面もある。いろいろな政策の必要性を語りながら、例えば合併論議の中でも、目の前にそれらを方向付ける方針が示された時、それについて、自分の言葉で何も語れないと言うのはあまり誉められる事ではないと思う。課題を取り巻く背景に政治・行政・社会制度の欠陥があるとしたら、どこに問題がありどう改善すべきかの議論をしなくてはならないと思うがこの手の議論は少ない。
また、政策に対しての制度・仕組みの理解が浅く、深みやなるほどといった議論も、ないわけではないが少ないのが現状である。議論に迫力を感じられないのは、課題にリアリティと解決に向けた論拠を持ち得ないからなのかなと思うときがある。議員は、政策を作り行政及び関係機関へ提言をするのは当然であり、住民の声に答え結果を出すのが課せられた責務だと考える。また、議員活動の中で多くの行政課題に対して調査・研究を行い、現実的可能な限り市民福祉の向上に努めることが重要だと思う。
マックス・ウェーバーは「政治家が政治家たる最低条件は、情熱だ」といっている。自治体の意思形成への参与ほど政治的情熱をかきたてるものはないと考えるが、時にそれを見失いがちになっている。自らを戒め努力が必要だと感じる。
住民参画について
「住民参画型のまちづくり」が提唱されて久しいが、よろず地域の課題・案件に住民が精通するというのは、言うに易く行うに難しである。故に代理人を選挙で選びいわば委託をしている訳だが、自分達が乗り込んでいる船が近い将来どうなるのかといった問題については、世界的に見ても教養水準の高い国民といわれるのだから、大まかな関心は持つ必要があると思う。
そして、自らの不満や不安或いは夢や希望といったものの所以が、どこにあるのかを具体化していくことも大切だと思う。こうした、住民個々の思考が堆積していくことによって、民意なるものはより確かな形を持ち、自治体としての意思をも形成していく推進力になると考える。
それぞれの権利・義務について
私達は、物事の展開に対して一方的な思い込みにがんじがらめになったまま、この町の運営について自らを損なっている場面がある。権利と義務や受益と負担の関係などは特に多いと感じる。物事は一方的に見るのでなく、やはり相対的に眺める事が大切だと感じる。相対的に眺めないと冷静な判断や適正な利益を上げられない場合が多い。地域は人が絡み合って生活する場であり、1人勝ち的なものは、行政上あってはならない話だと思う。
憲法には次のような3つの条文がある。
第11条 国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。
第12条 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。
第13条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。