地域福祉を考えるP-2

地域福祉の変化
地域福祉計画は、平成12年6月の社会福祉事業法等の改正により、社会福祉法に新たに規定された事項であり、市町村地域福祉計画及び都道府県地域福祉支援計画からなります。また、その規定は、平成15年4月1日に施行されました。
内容としては、地域福祉計画の策定は、各地方自治体が主体的に取り組むこととなっており、条文には次のように規定されています。
第107条(市町村地域福祉計画)
市町村は、地方自治法第2条第4項の基本構想に即し、地域福祉の推進に関する事項として次に掲げる事項を一体的に定める計画(以下「市町村地域福祉計画」という。)を策定し、又は変更しようとするときは、あらかじめ、住民、社会福祉を目的とする事業を経営する者その他社会福祉に関する活動を行う者の意見を反映させるために必要な措置を講ずるとともに、その内容を公表するものとする。
1地域における福祉サービスの適切な利用の推進に関する事項
2地域における社会福祉を目的とする事業の健全な発達に関する事項
3地域福祉に関する活動への住民の参加の促進に関する事項
第108条(都道府県地域福祉支援計画)
都道府県は、市町村地域福祉計画の達成に資するために、各市町村を通ずる広域的な見地から、市町村の地域福祉の支援に関する事項として次に掲げる事項を一体的に定める計画(以下「都道府県地域福祉支援計画」という。)を策定し、又は変更しようとするときは、あらかじめ、公聴会の開催等住民その他の者の意見を反映させるために必要な措置を講ずるとともに、その内容を公表するものとする。
1市町村の地域福祉の推進を支援するための基本的方針に関する事項
2社会福祉を目的とする事業に従事する者の確保又は資質の向上に関する事項
3福祉サービスの適切な利用の推進及び社会福祉を目的とする事業の健全な発達のための基盤整備に関する事項
このふたつの条文が施行されたことによって、「市町村は地域福祉計画の策定」「都道府県は市町村を支援する計画」を法的な根拠に基づいて行うことが求められることとなってきました。
ただ、この規定ついて、自治事務と位置付けられているもので、計画策定を義務付けたものではなく、策定については市町村の裁量に任せられているのが実態です。
地域福祉計画は、第107条の規定にあるように、地域住民の意見を十分に反映させながら策定する計画であり、豊田町においては、H15年度に計画策定のための住民アンケートを実施します。
市町村の役割
第6条には、国、地方公共団体の役割が明確化されました。福祉の領域での推進主体が「市町村主義」に移行し、基礎的自治体である市町村を、住民にもっとも身近な政府として、福祉行政の第一の主体として位置付けられました。
例えば、これも同じく来年の4月から障害者福祉においても、措置制度から支援費支給制度に転換が行われ、その支援費支給事務は、市町村が実施することになります。第6条の内容は次の通りです。
第6条(福祉サービスの提供体制の確保等に関する国及び地方公共団体の責務)
国及び地方公共団体は、社会福祉を目的とする事業を経営する者と協力して、社会福祉を目的とする事業の広範かつ計画的な実施が図られるよう、福祉サービスを提供する体制の確保に関する施策、福祉サービスの適切な利用の推進に関する施策その他の必要な各般の措置を講じなければならない。
今後の課題
「地域福祉計画」は、市町村の基本構想や総合計画と整合性をもってつくられるのが基本ですが、既存の計画を改めて地域から位置付けなおすといった意味の計画であると考えます。
この「地域福祉計画」の中心的な課題は、「地域福祉の担い手づくり」と「福祉コミュニティの自律的形成支援」であると言われています。
第4条では、次のように規定があります。
「地域住民、社会福祉を目的とする事業を経営する者及び者起伏しに関する活動を行う者は、相互に協力し、福祉サービスを必要とする地域住民が地域社会を構成する一員として日常生活を営み、社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加する機会が与えられるように、地域福祉の推進に努めなければならない。」
この規定の重要な部分は、地域福祉推進の主体として積極的に「地域住民」を位置付けている点です。これは理念的規範とも言えますが、今後の地域社会の構造などを考えれば、将来に向けて具体的行動をもって実現させていかなくてはならない事柄でもあります。
「地域福祉の主体的担い手としての地域住民」を可能にすることが今後の課題となっています。