地域社会の大手術 三位一体の改革の行方P-2
三位一体の改革についての意見書
「三位一体の改革についての意見書」が6月6日地方分権改革推進会議より提出されました。
原案は次のとおりです。「三位一体の改革についての意見書」
地方分権改革推進会議において様々な議論を経てのものだと思いますがが、気になる点について書き記しておきたいと思います。
気になる点
意見書の中で「三位一体の改革の具体的内容」として、1つに国庫補助負担金廃止・縮減について示しています。
具体的には5月7日に提出された「事務・事業の在り方に関する意見で提言されている135項目の内容に沿って、中長期的には廃止・縮減等が行われていくことが望ましい」とし、「政府部内における検討の中で、基本方針2002に示された「改革と展望」の期間中に数兆円の削減が実現することを強く期待する」と記しています。
具体的にはその1
具体案として「事務・事業の在り方に関する意見」に示されており、
15年度予算の措置としては、次のようなものが削減対象なっています。
1社会保障(計5752億円)
○保育所制度(幼保一元化、調理室設置の義務付けの見直し、保育所運営費負担金など関連する補助負担金の一般財源化等)
○保健所長医師資格要件の廃止
○保険制度、サービス水準の見直し(最低基準と財政措置の見直し、介護保険事務費交付金の見直し等)
2教育・文化(計2兆7879億円)
○義務教育費国庫負担制度(対象経費の見直し、定額化・交付金化、全額一般財源化、事務・栄養職員の一般財源化等)
○教員給与の一律優遇の見直し
○学級編制の基準の設定権限等の県から市への権限移譲(県と政令市間の県費負担教職員制度の見直し、学級編制の基準の設定権限の移譲、高等学校・幼稚園の設置認可の見直し)
3公共事業(計5兆8286億円)
○地方道路整備臨時交付金の運用改善
○市町村事業等に係る国庫補助負担事業の原則廃止・縮減
○事業主体としての国と地方の役割分担の明確化
4産業振興その他(計1232億円)
○農業委員会・改良普及事業(必置規制の見直し、交付金の一般財源化等)
○交通安全対策特別交付金の見直し
具体的にその2
意見書の中には明記されていませんが、意見書のたたき台とも言える「地方分権改革推進会議小委員長試案」の中では、次のような表現もありました。
「これまでも国庫補助負担金の整理合理化に向けた努力は行われてきたが、平成10年度予算と15年度予算を比較すると、社会保障関係費は8.4兆円から10.7兆円へと増加したことにより、公共事業関係費などその他の国庫補助負担金が7.7兆円から6.8兆円へと削減されたにもかかわらず、地方公共団体向け国庫補助負担金は総額として16.1兆円から17.5兆円に増加する結果となっている。地方公共団体向け国庫補助負担金の総額に、歯止めをかけることが求められる。」
何が問題か
P?1にも若干書き込みましたが、特に社会保障関係の国庫補助負担金は、増えた減ったの意味が他のものとは少し違っていると考えています。
社会保障分野においての支出は、国の基準で定める額を市町村は必ず負担しなくてはならないので、対象者が増えれば自治体の負担は負担は増加します。市町村の社会保障関係の国庫補助負担金で多いのは、少子高齢社会への対応のため対象者等の増加にともなって増えているのが現状です。
これから・・・
市町村においては「合併」、国においては「構造改革」どちらも各論に入り、いろいろな思いや課題がでてきています。ただ今の制度仕組みをこのまま維持することは難しいという状況があります。
私たちの地域でも合併協議会の議論が少しづつ具体的なものになってきました。
国・地方を併せた大手術がはじまりました。原点は、将来に禍根やつけを残さぬ行財政システムの改革だったと思います。