地域社会の大手術 三位一体の改革の行方 P?1

新聞紙上で急に「三位一体」改革の記事が目に付くようになりました。実は昨夜、合併協議会の委員の方からも尋ねられたところです。
「三位一体の改革」とは?
「三位一体の改革」は「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2002」いわゆる「骨太の方針」を受け提言されているもので、
(1)国が地方に支出している国庫補助負担金の廃止・縮減。
(2)地方交付税交付金の削減。
(3)国から地方への税源委譲。
この三つを「三位一体」で同時に改革して、財政的に地方の自立を図り、地方分権を実現するとするものです。
現在この取組みの最大の争点となっいるところは「税源移譲」に関する問題です。総務省と地方はを国から地方へ税源を譲るよう求めているのに対し、国の金庫番の財務省は強く反発している様相です。
地域の状況は?
2000年4月の地方分権一括法案の施行に伴い、機関委任事務は廃止され、地方への事務移譲が行われ、地方が行う仕事が増えてきました。また、介護保険や障害者支援費制度の実施など新たな仕事も加わってきております。身近に住民と接する市町村としては、業務の適切な執行のために職員を配置したいところですが、財政上の理由からむしろ職員数は削減すべきものとされています。
以前にも書き記しましたが、行政には「やらなくてはならない仕事」と「やらないほうがよい仕事」があると書きましたが、まさに「やらなくてはならない仕事」が増える中で、肝心の財源は移譲されずに仕事と財政が一致しない歪んだ実態となっています。
地方の歳出の約7割は国の施策占める割合の多い教育、社会保障、公共投資の3分野が占めています。このため、地方の取組みだけでなく、国の施策と併せて仕事量と財源の保障も考えていかなくてはならないと思います。
以前ある首長が冗談で「どんどん仕事が増えてきて、お金がないとしたら自治会にも仕事を担ってもらわなければ」と言っていました。私は、地方行政が行う仕事の中で、やはり「公共性」という概念が大切だと考えています。「教育」や「社会保障」はまさにその分野にあてはまるものと考えます。
現在の市町村では、財政上の理由から無駄な箱ものや不要な道路への投資は実質的に出来なくなっています。補助金や地方交付税は地域福祉や教育の日常支出に使われています。それを闇雲にカットすると地域社会が大きなダメージを受けます。
それでは
小泉首相は「税財源の移譲を行い、そこで出てくる矛盾を交付税と補助金でどう解消するか、地方議会に権限を与えるのも含めて考えるべき。」また、片山総務大臣は「地方分権の観点から税源委譲などにより地方の歳入構造を地方税中心とし、自立的な財政運営を営むことができる団体を増加させる。」と発言しています。この発言の行方が本当に地方分権が実現するのか中途半端に終わるのかの判断のしどころだと思います。