まちづくりの意味を考える
市町村の受け持つ仕事の中で「まちづくり」は欠かせない重大なテーマであります。このところの様子を見るとその「まちづくりの意味・意識」に変化がおこっていると感じています。
「まちづくり」といえば、道路や下水道のような基盤的整備はなくてはならないものではありますが、都市の特徴ともいわれた、機能性、効率性、経済性に加えて、心のふれあいや、感性に訴える何かを付加することが求められていると感じています。「まちづくりの意味・意識」の中に「まちの個性や特性」「快適性」なども重要なテーマとなってきているのを感じます。「まちづくり」の懇談をする中で「まちづくり」をハード・ソフト面に分けるとするならば、ソフト面の充実を求める声が多く聞かれます。
また「地域の活性化」といったものも地域の経済的・産業的活性化だけを意味するものではなくなってきていると感じています。確かに住民が安心して生活をするには産業基盤や社会基盤の整備は欠く事のできないものであり、事実、働き場や社会資本の整備の遅れたところには人は住みたがらないと思います。しかしながら、産業や経済が活発だからといって、地域が活性化されているとはいえないとの意見もあります。
地域の活性化とは「人々がそこで真にいきいきと暮らせること」であり、このようなまちづくりには、産業・経済だけではなく、地域のもつ文化や住民間のコミュニケーション、自然環境も重要な要素であると考えています。
「人と人の生活の間に潤いややりがい等を生み出していくこと」このことを「まちづくり」の中で考え合っていく必要をかんじています。これについては、主観的で、それぞれ人によって感じ方が違い、評価も分かれます。行政が対象とするには、どちらかといえば苦手の部類です。これを、これからの市町村の場でどのように実現するかが鍵となってきます。
町並みやまちの雰囲気作りには成功例が出ています。歴史的景観、シンボルの修復、再現も力が入れられています。いずれもそこに暮らす人の心意気や配慮が感じ取られ、暮らす人の哲学さえ伝わってくるところもあります。
100年先のこのまちに暮らす子孫にわたしたちは「まちづくり」をどのように取り組んでいくのか、とにかく考え合っていく必要を感じる今日この頃です。