地域づくりと学びの場

「住民参加・参画の地域づくり」こんな言葉が盛んに使われるようになりました。しかし、各種審議会や〇〇計画策定委員会には、住民の参加を経て進めるなどといっても、その中身は全部とはいいませんが、行政やコンサルがつくったものを承認する会議になってしまうのが現状のようです。
これには、一般的生活者にとって、「地域自治に関わる情報が的確に伝えられていない」また「学ぶ機会がない」ということが原因として上げられます。「住民参加」を盛んに掲げても、それについて「学びの場」もなければ、「なにをどのように話していいのかわからない」と言った声が聞かれるのも仕方がないことかもしれません。議会ではこんな提案をしました。
例えば、話し合いのテーマを「地方分権」「市町村の財政」「教育改革」「地域福祉」としてみます。これらを学ぶ場が私たちの地域において、すぐに見つかるでしょうか。
自分で調べるには、図書館があります。講座がもたれていれば、公民館があります。多少お金を出してよければ、カルチャー・センターがあります。ところが、これらの「学びの場」はありそうであって、実際には、図書館以外に、ほとんどその場は見あたらないのが現実です。
地域の人口がどうなるか、人口推計一つとっても、地域福祉計画の見通しにつながります。自分たちのまちの借金はどれくらいで、どこに問題があるのか、財政の推移と推計を知るだけで、参画の意思が違ってくると思います。まちづくり原則を学ぶことは地域づくりへの参加の基礎となる考えます。
そこで必要なのが、市町村の現状と方向性を示す資料やわかりやすい説明です。しかし、残念ながら、今の市町村には、その運営の全体を総合して、説明・報告するアカウンタビリティが乏しいといえます。<豊田町情報公開条例について>
近い将来、市町村運営がより住民の責任の範囲で行うようになることが予想されます。つまり、住民は自らの地域のことを、自分で決めることが多くなるということです。そうした時に、全体像が見えなくて、何が決められるでしょうか。また、具体的な分析の手法を知らなくて正確な判断が下せるとは思えません。そこに、学びの重要性があります。
社会情勢の変化や地方分権社会の到来・構造改革を受け「地方の自立」「財政難をどうする」「福祉や教育の改革は地域が基本」と言われはするものの、その基本を学ぶ場がないというのは、少なからず地域自治を考える者であれば矛盾を感じるはずです。
こうした状況下では、行政が積極的にその機会をつくっていく必要があります。議会においては、こんな提案をしました。平成14年度から「はじめの一歩塾」が開講しました。地域に根付いた学びにおいて大切なことは、特に難しいことではなくその地域により密着した地域の息づかいが聞こえる学びだと思います。