原点を見つめて 「条例の発案権について」
条例とは?
条例とは、憲法第94条の規定によって地方公共団体が法律の範囲の中で、法令に違反しない限りにおいて、地方公共団体の事務に関して定める法規の一種です。この条例は、住民に対して他の法令と同じように権利を制限したり、義務を課したりするものですから、議会の議決がなければ、これを制定したり改正・廃止することはできません。議会にとって、条例の制定・改廃権は、予算の議決と並んで重要な権限となります。
条例の発案について
条例の制定は、議会の議決を必要とするので、制定しようとする場合は、原案を作成し議会へ提出しなければなりません。この場合、地方自治法では発案できる者について規定をしています。これを「条例の発案権」と呼んでいます。
条例の発案者は「議員」「長」「住民」の3者ですが、それぞれの発案権に関しての規定も設けられています。
議員の発案に関しては、自治法第112条に「議員の議案提出権」として規定されております。内容としては、議員定数の1/12以上の賛成者をもって発案ができるとされています。わが町では、定数が18人であるため2人以上の賛同者がいれば可能ということになります。(但し、予算についは提案できません)
住民には、条例の制定・改廃請求権(自治法第12条)が与えられています。いわゆる直接請求権というものです。この場合規定は、自治法第74条に規定されていますが、選挙権を有する者の1/50以上の連署をもって一定の手続きを経て請求できるものとしています。余談になりますが、この直接請求権を行使したのが、このたびの住民発議による合併協議会設置請求です。また、自治法の改正により、直接請求代表者には、議会審議の場での意見陳述の機会が保障されました。
議会の提案権の行使について
残念ながら、議員の提案権はあまり使われていません。ほとんどが長の提案になっているのが現状です。この理由は、「条例の制定にともなう事務が非常に専門化しているため、なかなか議員提案がむずかしい状況にある」「長が膨大な組織を持ち、専門スタッフを揃えているのに対し、議会には、議会事務局しかない」200人の職員がそれぞれ1日掛けてやる仕事を1人でやるとすれば、それぞれ能力を同じと仮定して単純計算で200日掛かるという状況です。後は「それぞれが本気になって取り組むかどうか」といったことが上げられます。議員といっても行政のプロとしての教育・研修を受けているわけではないので、それぞれの自助努力にかかっているというのが現状です。
今後の課題として
地方分権が実施の段階になり、市町村合併が日程に上がって来ました。おらがまちはどう対応するのか、差し迫っての重大課題が目白押しに現実問題となって来そうです。これらは最終的には議会によって審議されます。これについては、自分の自治体のみならず関係4市町村の「長」「議会」「住民」それぞれが深いかかわりをもってあたっていかなければなりません。
現状に甘んじることなく絶えずその権能を磨いていくことが重要となっています。