豊でたくましい自治を求めて

生活をとらえかえし建てなおすこと。生活の場としての地域をとらえ返し建てなおすこと。今、このことが課題として各分野から指摘されるようになった。

子育てや文化、スポーツ、健康や福祉や教育、そして消費生活や地域産業、生活環境、住民自治など様々な分野からである。その課題は、戦後日本社会の経済構造、生活構造を大きく転換させることとなった高度経済成長以降における地域社会の変貌を背景として立ち現れてきている。

時代の流れは地方分権へと向かっている。これは、地域自治の力が試される時代だとも言え、分権型社会では、住民の知恵や創意工夫を生かした地域づくりが求められる。

地方自治の本旨は、住民の代表者によって組織される機関による自治運営である「団体自治」と、住民が自発的かつ積極的に参画し、住民自らの責任により運営する「住民自治」の結合の上に成り立つことにある。

お年寄りの介護や子供の教育・生活環境の整備といった社会問題は多くは、地域の現場で起きている。これらの解決は、現場にいる人達の主体的な取り組みなしには、解決への道筋が建てられないのが現状である。

地域社会の担い手は、地域に暮らす住民である。地方分権が進む中で、分権型社会へアタックしていく要因の1つは、各自治体のまちづくりを、住民主体で進めることである。身の回りの問題は、住民自らが取り組む地方自治の基本を住民意識に定着させ、個人・団体・企業・学校・行政等が一体感をもって地域づくりを進めることが大切である。

そこで、小学校区のような、人の顔となりが見える小さな地域を自治の最小単位として、住民が日常生活を送る上で必要と考える事柄に、自分達で取り組んでいくためのシステムを創ることはできないだろうか。自分達の地域を良くしたいという、住民の自発的意志をかすがいに多くの人の力と知恵を結集できるような「自治システム」について研究をする。この研究については、現在群馬県にて取り組みがされている。

(1)「小さな自治システム」の研究

 ●めざすシステムは、イギリスのパリッシュなどの準公共団体的なものなのか、自治会などの地域共同体的ものなのか、地域づくりのNPO的ものなのかについて、本町におけるコミュニティーの実態を踏まえ、地方自治法等法令上及び財政制度上の制約条件を明らかにしていくと共に方向性を検討する。

 ●現在、行政や地域活動・NPO・ボランティアなどが行っている教育・子育て・介護・環境・防災・文化・スポーツ・地域づくりなどの取り組みの実態を調査し、それぞれの活動を人づくり・地域づくり・社会づくりの観点から、縦横の線で結びつけ社会的課題解決のシステムづくりを研究・検討する。

(2)「地域大家族化構想」の研究

 ●かつて地域社会においては、日常的に多様な人間関係が築かれていた。しかし、地域において都市化が進み人間関係をも効率化してきた中で、様々な社会問題も発生してきている。また、少子高齢化社会の到来と共に数多くの課題も指摘されている。地域に暮らす人々が孤立化することのないような手だてが必要である。

自分の家には子どもはなくても地域にはいる、一人っ子であっても地域には兄弟・姉妹がいる。青年も壮年もお年寄りも地域には必ずいる。地域は大家族という視点で各世代ごとの活躍の場や相互の交流・協力関係の可能性を研究する。

(3)「施設・資源の活用」の研究

 ●既存施設等の使用制約や有効活用の可能性を調査・検討する。

(4)「地域人材」の発掘・調査

 ●地域における人材の掘り起こしを行う。

以上のような取り組みを考えている。